◆ 監修ピアニスト

菊池裕介
Yusuke Kikuchi

菊地 裕介

「エチュード」は、専ら「練習曲」と邦訳されていますが、フランス語の「etude」は「学習、勉強」という意味に加えて「調査、研究」さらには「論文」といった意味を内含しています。
単にピアノを練習して少しばかり達者に弾けるようになったところで、さしたる生産的価値はないと思います。
しかし「エチュード」を本当に自分のものとし、かけがえのない芸術的な啓示を見出すには、フィジカルな面にとどまらない広範にわたる「調査、研究」が必要です。心技一体の「究明的な」態度で、自らの一度きりの演奏の完成度を追求する体験は、その後の人生を明るくしてくれるに違いありません。
私はその教育的価値こそがこのコンクールの主眼に置かれることを願ってやみません。